布埜菜々子さん
中学生部門の最優秀賞は、審査員から「丁寧で美しく、色彩豊かな演奏」と評価された、布埜菜々子さん。佐用町立佐用中学校2年生です。菜々子さんが住む兵庫県佐用町は、岡山県との県境にある町。お母様と一緒にこたえてくれたオンラインインタビュー当日は、夕方から降りはじめた雪が10センチほど積もった真冬日でした。
布埜菜々子さん
今回の結果は、習い事から帰宅する車の中で知りました。「わたしも嬉しくて驚きすぎて、どう伝えたらいいかわからなくて......自分で確かめてもらおうと思って」と、先に結果を知っていたお母さんがスマホの画面を見せると「えー!! と大きな声を出してしまって、そのあと嬉しさで涙がでてきました」と菜々子さん。演奏するときにいちばん意識することは「聴いている人に、曲のメッセージを伝えること」。全国大会では、自分なりに演奏をやりきることができホッとしたと同時に手応えを感じていたものの、コンクールで一位に輝いたのは今回が初めて。入賞とはちがう、ひときわ大きな喜びがあったと言います。おばあちゃんからお祝いのメールが届いたり、学校の先生から労いの言葉をもらったりして、日に日に実感がわいてきました。「このさきも受賞者として恥ずかしくないように、もっといい演奏ができるように頑張ろうという気持ちです」と前を向きます。
菜々子さんがピアノをはじめたのは 5 歳のとき。きっかけは、「まわりのお友だちが習っていて楽しそうだったから」。でもはじめてみると「楽しくなかった(笑)」と菜々子さん。しんどかったり集中できなかったりするようなときでも毎日練習を続けなくてはいけないのは、とても大変なこと。好きじゃないと上手になれないと思っていたし、小学生高学年のころは、遊びたいときに遊べなかったり、コンクールで思うような結果がだせなかったりして、ピアノをやめてしまいたいと思ったことも。そんなとき、先生から「演奏を通して、メッセージを伝える」ということを教えてもらい、気持ちに変化が訪れました。
小学生の終わりから師事している高石香先生と
曲のメッセージを伝えるためには、自分自身がそのメッセージを理解することが必要です。そこで、新しい曲に取り組むときには、作曲家の伝記を読んだり、住んでいた場所をインターネットで調べたり、時代背景を勉強したりして、曲がもつメッセージを読み取ります。いまでは、「その過程が楽しい」と思えるようになりました。「まだまだ伝える力は足りないと思うけれど、自分の音で、感情や風景を感じてもらえたらすごく嬉しい」と菜々子さんは言います。
レッスンは週に一回。それとはべつに2、3か月に一度、もうひとりの先生にも指導してもらっています。どちらのレッスンも神戶です。佐用町は兵庫県ですが、神戶までは車で片道2時間。毎回、お母さんが送迎してくれます。 お母さんは、菜々子さんに「本物を聴かせる」ことを大切にしていると言います。菜々子さんがピアノを習いはじめてからは、さまざまなピアニストの CD を買って聴く機会をつくったり、YouTube を観せたりと、いつもそばでサポートしています。
菜々子さんは、ピアノとおなじように、3歳からはじめたバレエも頑張っています。中学生になって塾やほかの習いごともあるため、ピアノの練習時間を確保するのが難しくなってきました。だから、短い時間でも集中して練習することが日々の課題です。「練習はあんまり好きじゃないから......」と言いつつ、できるだけピアノにさわる時間をつくります。土日は、先生のレッスンを受けて帰宅したら、もう一度レッスンを振り返ってじっくり練習するなど、自分なりに工夫しています。
バレエも大切にしてきたこと
ここから見る佐用町の景色がいちばん好き
佐用町にあるスピカホールでコンサートを開くのが夢
